みんなが大好きバナナ。日本で見かけるバナナは2、3種類ですが、世界には300種類以上あるとか。バナナの宝庫インドネシアから様々なバナナおやつをご紹介します。




バナナの生産量、世界第3位

バナナはご存じの通り南国フルーツです。南国インドネシアでのバナナ生産量は年間700万トン強で世界第3位。インドネシア産バナナは日本にもちょっと輸入されていますが、日本の主な輸入先はフィリピンで、さらにキャベンディッシュという生食用の品種が市場の80%程度を占めているそうです。ですから日本のスーパーなどでは、バナナと言えばちょっとした糖度や形の違いのものしか見かけませんよね。それに対して、インドネシアでは様々な種類のバナナがあり、生食用・調理用、大きい・小さい、太い・細い、甘いの・あまり甘くないの・・・ そもそも「甘い」だけでくくれない様々な「甘みの種類」があります。






市場の様子

市場でのバナナ売り場の様子です。様々なバナナが吊るされたり、または房ごとごそっと置いてあったりして、それはもう圧巻です。色は緑色から黄色、更に黒ずんだ黄色まであり、形も様々。値段は吊るされている一房で約2万ルピア程度(約150円)。こんなにいっぱい種類があるけれど、いったいどんな違いがあるのでしょうか?



生食用バナナ

バナナには生食用と調理用が存在すると先にお話ししましたが、生食用は甘みの種類がいくつもあり、人それぞれの好みの味のバナナを買います。インドネシアでは半分くらい青い状態で売られています。日本では青い状態で輸入されたバナナを温度管理された倉庫で追熟し、黄色くなったものが流通しますが、インドネシアでは青い状態で収穫して市場に置かれ、お店でまたは買った後に家で追熟し、徐々に黄色く変化していくそうです。
は、日本では見かけない調理用のバナナはどのように食べられているのでしょうか?そのままの状態ではあまり甘くなく、硬かったり、渋かったりしますが、加熱することで食感が変わり美味しく食べられます。そして様々な「おやつ」に変身するのです。早速、インドネシアで食べられているバナナのおやつをご紹介したいと思います。






ピサン・ゴレン(揚げバナナ)

「ピサン・ゴレン(ピサン=バナナ、ゴレン=揚げる)」 インドネシアでバナナのおやつと言えば真っ先に出てくるのは「ピサン・ゴレン」です。バナナに甘い衣をつけてこんがり揚げたものです。ピサン・ゴレン専用のバナナは、小さいものが多く、揚げることで甘みが強く出て、トロっとした柔らかさになります。こちらの屋台のように薄くスライスしたものを並べたり、縦半分に切っていたり、丸々一本の状態だったり、春巻きのような皮に巻いていたりなど、お店で工夫が凝らされています。衣がサクッ、中はとろっ、甘味と酸味のバランスが絶妙に美味しくて、毎日食べられそうです。スーパーなどには家庭用にピサン・ゴレン衣の粉もよく売られています。好きな人は好みでチリソースと合わせて食べたりします(インドネシア人は甘辛の組み合わせが大好きなんですね。例えば、甘みが薄めな生フルーツを食べる時にもチリソースと合わせるくらいです)。 






ピサン・ルブス(蒸しバナナ)

「ピサン・ルブス(ルブス=蒸す)」。調理用バナナの中でもカチカチに硬くて甘くない品種があります。これは蒸すとホクホク食感となり、ほんわか甘みが増して美味しくなります。まるで日本の焼き芋のようですね。






ピサン・ゲベング(焼きバナナ)

こちらのおやつはいくつかの呼び名があり、「ピサン・ゲベング」、または「ピサン・サレ」、「ピサン・バカール」などと呼ばれており、焼きバナナになります。焼いて甘みが増したバナナに削ったチーズとスプレーチョコを山盛りにのせます。焼かれたバナナの熱でチーズとチョコが若干溶けたころが食べごろでしょうか。バナナのほんのりした甘みに、チーズの塩味とチョコレートの甘いアクセントがつきます。






コラック

イスラム教では年に1ヶ月ほど日中断食をします。一日の断食が明けた空腹のピークの時に、ココナッツミルクのぜんざいのような「コラック」という飲み物がよく飲まれますが、これにもカットバナナが煮込まれて入っていることが多いです。こちらもコラック専用のバナナを使用するそうです(調理すると甘みが出る品種)。断食明けの空っぽの胃に消化が良くてかつ栄養満点のバナナは最適です。ただ、今は断食月ではないので写真をお見せできないのが残念です。



クリピック・ピサン(バナナチップス)

「クリピック・ピサン(クリピック=果物や野菜などをカットして乾燥させて揚げたもの)」。バナナチップスは日本でもおなじみですが、インドネシアではフレーバーつきが一般的です。日本でのポップコーンの楽しみ方のように、はちみつ味、チョコ味、塩味、カレー味にもちろん辛い味付けも。またクリピック・ピサンは生のバナナを油で揚げたものから、干してから揚げたものもあります。カット方法も輪切りだったり、縦切りだったり。バナナチップスひとつとっても味や食感の違いを楽しめます。





次にバナナが花を添えるおやつのご紹介です。



エス・ピサン・ヒジョウ

直訳してしまうと「緑バナナのかき氷」ですが、青い状態のバナナを使うという意味ではありません。こちらは米粉、タピオカ粉、砂糖、パンダン(以前「東南アジアのパンダンリーフ」の記事でご紹介した『東洋のバニラ』です)から抽出した緑色の水、以上を混ぜ合わせ一度火を入れてねっちりした生地にします。その生地を薄く延ばし、バナナをくるくると巻いて包んで、更に蒸します。「緑」はパンダンの緑色でしたね。パンダンの香りをつけたココナッツミルクとタピオカ粉を混ぜたものに火を入れし、どろっとソース状になったもの、それとピンク色の甘いシロップの入ったかき氷を合わせスープに緑バナナをカットしてのせます。






クエ・ナガサリ

次に紹介するのは「クエ・ナガサリ」。米粉、タピオカ粉、ココナッツミルクに砂糖、パンダンで風味付けした液を火にかけかきまぜているとべっとりとした生地になるので、それをバナナの葉にのせてスライスしたバナナを包み込み、全体を葉で包みます。これを更に蒸します。もっちり甘いおやつです。






バナナの葉は丈夫で水にも火にも強いので、このように食べ物を包んだり、お皿代わりに使われているシーンが多々あり、インドネシアの生活にバナナが密着していることがよく分かります。



 





インドネシアのバナナおやつを作ってみよう

初めに紹介したバナナのおやつ「ピサン・ゴレン」、あんな美味しそうなおやつを食べてみたい、と思われた方に朗報です。日本でも手軽に作れちゃうんです!バナナは生食用で結構です。日本で手に入るバナナは大きいので火が通りやすい程度に適度にカットして、ホットケーキミックスを少し多めの水で溶いた衣をつけて、中温~高温で表面がこんがりとなるまで揚げてください。揚げたてのカリッ、とろっの組み合わせはやみ付きになること間違いなしです。生食用バナナを使うとバナナが軟らかくなりすぎるのですが、それでも十分に美味しく出来上がります。ぜひお子様のおやつにもお試しください!





まだまだ紹介しきれませんが、インドネシアのバナナおやつのバリエーションの多さに驚いていただけたかと思います。「このおやつには、この品種のバナナ」といったように、それぞれのバナナの特性を生かしたそれぞれの調理方法があるんですね。また、「バナナが花を添えるおやつ」で紹介したおやつも、すごく手が込んでいることがお分かりいただけましたでしょうか。でも、バナナを楽しむためだったら手間は惜しまないのもインドネシアならではの楽しみ方です。バナナに囲まれた国ならではの食文化ですね。

日本では当たり前すぎて何も考えずに生で食べているバナナですが、ぜひ調理したバナナの新しい味・食感を試してみてください。新しい感動に出会えるかもしれません。


(取材・文 まちおやつプロジェクトメンバー)

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