「パッションフルーツは生で食べると香りが最高です。乳製品との相性が良いのでジャムやピューレに加工してヨーグルトにかけたり、ピザにのせてもおいしいんですよ」



東京都の多摩地区南部にある八王子市は東京都の中で耕地面積が最も多く、農産物の穫れ高も最も多い地域です。その八王子市で亜熱帯地域原産のパッションフルーツが穫れると聞いて生産者の「八王子高原屋」代表 澤井孝行(さわい たかゆき)さんを訪ねました。八王子市でパッションフルーツの栽培が始まったのは今から10年前。たった3名で作り始めました。澤井さんのご近所のシクラメン農家さんが小笠原諸島に出かけた際に、昼食に出てきたパッションフルーツのおいしさに感動して「このパッションフルーツを八王子で作れないだろうか」と思ったのがきっかけだそう。「誘っていただいてパッションフルーツ栽培を始めました。初めは手探りでした。八王子市の気候に合う栽培方法もわからなかったので大変でした。苦労の甲斐あって今では生産者は13人になりました」。そして「パッションフルーツを八王子の特産品として多くの人に知っていただきたいです。まずは少しでも多くの方に知っていただけたらと思い毎日ブログでパッションフルーツの栽培の様子や、花などを発信しているんですよ」と澤井さんは笑顔で教えてくれました。




パッションフルーツ栽培は大変!

「パッションフルーツってね、とっても手がかかる果樹なんです」と澤井さん。どういうことなのか聞いてみると「パッションフルーツは亜熱帯地域原産なのに実は暑いのが苦手なんです。特に熱帯夜が苦手です。暑い夜が続くと高温障害といって色づきが悪いまま具体的には黄色い状態で地面に落ちてしまったりするんです。あとは定期的にたっぷりと水やりをしてやらなくてはなりません。あと肥料もたっぷりと必要です。さらに葉っぱの成長がとても速くこまめに剪定しないとジャングルのように成長してしまいます。『暑いのは嫌!お水大好き!おいしい肥料をたくさんちょうだい!まめに剪定してちょうだい!』といった具合。とっても手がかかるでしょう」と澤井さんが教えてくれました。大変なことは他にもあります。5月に苗を植えて、6月から7月に花が咲きます。中身がぎっしりと入った良い果実ができるよう人の手で受粉を行うそうです。「1日に200以上の花が咲くので大変です。うちはハウス栽培なので蜂を飛ばして受粉をしてもらうっていう方法もあるんですが蜂もね、暑いと仕事をしてくれないんですよ」と澤井さんが面白いお話を教えてくれました。そして収穫は8月から10月です。「収穫は簡単なんです。パッションフルーツって完熟すると実が落ちるんです。だから木の低い位置にネットを張ってネットに落ちているのを拾うだけです。他の作物のように大きさや色を見て判断しながら収穫をしなくていいんです」と澤井さん。こうしてできあがったパッションフルーツのおいしい食べ方は後程ご紹介しますね。

 

 

時を刻むパッションフルーツの花

パッションフルーツの花は開くと見た目が時計のように見えることから別名「トケイソウ」とも呼ばれています。確かに、副花冠(ふくかかん)と呼ばれる糸のようにひらひらとした部分が文字盤でめしべとおしべが時計の針に見えます。そしてパッションフルーツの花はもう一つ時計のような特徴があります。それは時間に正確だということです。朝明るくなったら花が一斉に開き夕方になると閉じてしまうのです。そして花が咲くのはたった一日だけだそう。澤井さんはその数時間の間に受粉をさせているということなのですね。






環境にやさしい農業を目指して

澤井さんは環境にやさしい農業を目指しています。昨年は「東京都エコ農産物」の認証を取得しました。ほぼ無農薬で栽培することにこだわり除草剤も使いません。「パッションフルーツは肥料をたくさん必要としますが、化学肥料を使うと土にしみこみ地下に流れますよね。水の汚染につながるのでうちでは慣行栽培(日本で一番普及している栽培方法。化学肥料を使い、病害虫の駆除、防除に農薬(化学薬品)を使った栽培方法のこと)の基準の半分までしか使いません。八王子の豊かな自然を大切にしたいんです」と澤井さんは話します。「環境に優しいといえばもうひとつ、パッションフルーツの木はグリーンカーテンにもなるんです。パッションフルーツの木って葉っぱが枯れないんです。霜が当たって枯れるまでは張りと艶がある大きな葉が残るんです。うまくいけば実も付きますよ」と澤井さん。エコのためにと学校などから需要があるのだとか。エコにもなって実も収穫できるなんていいことだらけですね。



切った瞬間に広がる甘酸っぱい香り

パッションフルーツの食べ方を澤井さんに伺うと「きっとそうなると思って、準備してきましたよ」といってナイフとまな板を出してくれました。パッションフルーツは収穫してから数日たつとピンッと張っていた外皮にしわが入ります。こうなったら食べごろだそうです。「パッションフルーツは真ん中でカットすると中身がこぼれ出てしまうので、へたに近い端っこのほうを切ります」と澤井さんがナイフを入れた瞬間、ビニールハウス内に甘酸っぱい香りが一気に広がりました。実はスプーンですくっていただきます。甘くて酸っぱい味が口いっぱいに広がります。ギュッと濃い味のパッションフルーツは八王子産ならではです。種も丸ごと食べられます。噛むとパリパリとした食感は初めて味わう食感です。「パッションフルーツは生で食べると最高です。あとは乳製品との相性が抜群なのでジャムに加工してアイスクリームやヨーグルトにかけたりもしますね。あと知り合いの料理研究家の方に教えてもらったんですがジャムをピザにのせてもおいしいんですよ。チーズトーストにかけてもイケます」と色々な食べ方を教えてくれました。みなさんも是非試してみてください。






もっとたくさんの人に八王子市の特産物をアピールしたい

「八王子市でパッションフルーツを作っているということを知らない人はまだまだたくさんいます。八王子市民でも知らない人が多いんです。今後はもっとアピールをしていきたいと思います。まずは知ってもらって、そして食べてみてもらいたいです。食べていただければきっとこのおいしさのファンになってもらえると思うんです。さらにパッションフルーツは栄養も豊富なんですよ。美容にいいと話題のピセアタンノールやビタミン群がたっぷり、そして種も一緒に食べれば良質なオイルも摂取出来るんです」と澤井さん。おいしくて美容や健康にうれしい栄養成分も摂取できるパッションフルーツ、みなさんも是非八王子市の特産物であるパッションフルーツを食べてみませんか?

 

(取材・文 まちおやつプロジェクトメンバー)




八王子高原屋

住所:八王子市高月町1108
電話:090-9108-2927
最寄駅  JR青梅線 拝島駅
お取り寄せ 可
お取り寄せ方法 https://802takaharaya.stores.jp/
ホームページ・ブログ https://www.takaharaya.com/

 

 

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