「ナンカ」って何モノ?響きだけでも面白い果実。それは熱い地域に生る巨大な果実。巨大すぎるだけでなくその中身も私たちの想像を超える不思議な果実をご紹介します。

 

 

世界で一番大きい果実

ナンカ(Nangka)とはクワ科パンノキ属の常緑高木で、日本語ではパラミツ、英語ではジャックフルーツ(jack fruit)と呼ばれ、東南アジア、南アジア、アフリカ、ブラジルで果樹として栽培されています。ナンカという呼び名はマレー語、インドネシア語の呼び方になります(ここでは、インドネシアのナンカを紹介したいと思います。)

ナンカの実は世界で一番大きい果実といわれ、果実は長さ45~70cm、幅30~40cmの楕円形で、重さ30kgほど。大きいものは50kgにもなるといいます。こんなに大きな実だと、男性でも1個を持ち上げるのがやっとですね。そしてその巨大な実が木の幹に直接なる姿もびっくりです。実がなり始めてから収穫までには4~5ヶ月ほどかかるそうです。

表面はゴツゴツしていて、見た目ドリアンと間違えてしまいそうですが、下の写真のドリアンのような手に刺さるような棘(とげ)はありません。そして、ドリアンのような強烈な臭いにおいはせず、逆に強烈な甘い香りがします。



強烈な甘い香りが漂うナンカには棘(とげ)はありません。



一方、強烈な臭いが有名なドリアンは、棘(とげ)がいっぱいです。



熟した果肉を生で食べる

熟したものは生で食べます。中身は、長さ3センチほどの茶色い大きな種の周りに黄色の果肉がついていて、その周りを強く太い白い繊維がびっしり覆っています。この繊維の間から、果肉を取り出して食べます。

なんとこの果実、さばいている途中に切り口から白いネバネバしたガムのような果実液が出てくるため、包丁も手もべたべたになり、粘着力が強いせいでさばくことができないほどになります。ネバネバは水や洗剤では取れないため、油でとるんだそうです。






下の写真は果肉の中から種を取り除いたところです。果肉の味は例えるならばフルーツガムのような感じで濃厚な甘みと香りがします。食感が非常に独特で、繊維もありカニカマのように裂くことができ、サクサクした沢庵のような噛み応えがあります。この表現、伝わりますでしょうか!?とにかく日本には無い食感です。甘みが強くていっぺんに大量には食べきれません。いえ、、、そもそもいっぺんに大量に食べてはいけないと言われています。ナンカはフルーツの割に水分が非常に少ないので、そのまま大量に食べると胃もたれするようで、空腹時を避けお水と一緒に食べるのが良いと言われています。
また、種も食べることができ、塩茹でするとまるで栗のような食感で美味しいそうです。







未熟なものは野菜として

未熟なナンカは野菜のように料理に使います。煮込んだり、揚げたりと、いろいろな調理法があります。
インドネシアでは「サユール アッサム」「パダン料理」 「ナシ グドゥ」という料理に使われます。どれも日々食べられている料理ばかりです。

「サユール アッサム」はスンダ地方の料理で、酸っぱい具だくさんの野菜スープです。ナンカは味の主張はなくコリコリとした食感を楽しむために使われている感じがします。「パダン料理」はパダン地方の料理の総称で、レストランに入ると注文しなくても料理が全部小皿にのってテーブルにのせられ、そのうち自分が食べたいものだけ食べるシステムです(そのため単品料理の名前が分からない状態です)。ナンカを使った料理はそのうちの一品で、ターメリックと唐辛子で煮込んだものになります。カレー風味のキンピラといった味わいでしょうか、辛味も強く白飯がすすむ美味しさです。続いて「ナシ グドゥ」ですが、ジョグジャカルタ地方で食べられるワンプレートの郷土料理で、夜になるとおばちゃんたちが屋台を並べ、そこに人々が集まり憩いの場になっています。ナンカはそのうちのおかずの一つに使われ、ココナッツミルクと砂糖とスパイスで煮てあり、すごく甘い味の中にうまみが詰まっています。私がグドゥを初めて食べたとき、ナンカの存在をまだ知らず、繊維がしっかりした食感だったので「軟らかく煮た鶏肉?竹の子?なんかなぁ~?」と不思議に思いながら食べたものでした。

以上の3つの料理の味の傾向が全く異なりますが、これはそれぞれの地方の味の特性も表しています。スンダ料理は塩辛さを好み甘いのは好みませんし、パダン料理はスパイスを活かした辛い料理が多く、ジョグジャカルタ地方はココナッツミルクを良く使い甘い料理が多いのです。インドネシア料理はこのように地方によって味の傾向が全く異なり、ナンカを料理するとこんなにも異なる味付けになるんですね。
日本では果物が野菜のように料理されることが少ないので、様々な味付けを施されるのには驚きです。







お菓子

熟した果肉はフライされ(真空フライヤーで50-60℃で揚げる)、スナック菓子としても食べられています。パキンパキンという硬めの食感に、噛んでいくうちにじんわりと染み出てくるフルーツガムのような甘さがたまりません。生で食べるよりちょっと甘みが抑えられて酸味が増している感じでしょうか。ほどよい甘さに食べる手が止まりません。10年ほど前は透明な袋に入っているものが多かったのですが、最近はパッケージも写真のようにおしゃれになり、少し高めのお土産菓子のように高級スーパーにも置かれるようになってきました。






魅惑の南国フルーツ

南国の太陽の恵みを受けて大きく育つ、フルーツでありながら野菜としても利用されているナンカ。その独特の味と独特の食感はインドネシアの各地方の食文化と共に活きています。日本の国内でも地域によって味つけの違いはありますが、インドネシアの味の違いはまるで他国の料理かと思うほどです。今回の記事を書くにあたってインドネシアの各地の方にインタビューさせてもらいましたが、「ここではそんな料理(味付け)は無い」「食べたことはない」というセリフを何度も聞きました。食文化が全く違うんですね。ナンカから色々な文化・お国柄が見えてきてくる、なんて魅惑的なフルーツなんでしょうか!

日本では沖縄の一部で栽培されているそうですが、本州では生でお目見えすることはありません。タイ産品など輸入缶詰で売られていますので、この魅惑的な甘い味を、そして食感をぜひお試しください!
 

(取材・文 まちおやつプロジェクトメンバー)


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