「なるべく農薬や化学肥料の使用を抑え、有機肥料で育てていけるよう取り組んでいます。『安心・安全』な甘藷(かんしょ)を食べていただきたいので努力は惜しみません。」



今回は宮崎県の素晴らしい大自然の中にあるサツマイモ農園に行ってきました。

サツマイモの事を宮崎県串間市のあたりでは「甘藷(かんしょ)」と呼びます。今日は代表の大塚義久(おおつか よしひさ)さんにお話を伺いました。大塚さんは2008年まではサラリーマンとしてお勤めでした。農業には以前からご興味があり転職を決断します。その理由のひとつに「形の悪いもの、小さすぎる、大きすぎるなどの『甘藷』も味はとてもおいしいので捨てずに食べてもらいたい。」という思いがありました。そのために形だけではなく、安心・安全・美味しい「甘藷」を作るという徹底したこだわりと愛情を持って育てています。驚きの栽培法や、おいしさの秘密まで色々ご紹介いたします。




土は半年間しっかり休んでもらいます。

大塚さんが所有する畑の面積は「4町(ちょう)」です。単位の「町」とは昔ながらの面積の単位で「1町=3,000坪=9,900平米」となります。その4倍なので12,000坪!39,600平米!この広さについては後にさらに驚きのお話につながります。それでも大塚さんは「まだまだ大規模ではないですよ。」と話します。「場所によって霜が降りないところでは年に2回芋を栽培できるそうです。うちは霜が降りるのと、あとなんだか土がかわいそうな気がして年に1回の栽培で半年間はしっかり土に休んでもらってます。」大塚さんは畑の土つくりはとっても大切なことだと考えているそうです。そのため肥料にもこだわります。なるべく農薬や化学肥料の使用を抑え、有機肥料で育てていけるよう取り組んでいます。「安心・安全」な甘藷をお客様に食べていただくための努力は惜しみません。



1本1本手作業の「苗の植え付け」

4月になると温室で育てられた20cmほどの甘藷の苗を手作業で1本1本丁寧に植えていくそうです。先ほどお伝えしたとおり大塚さんの畑は4町もあるのです。どのくらい大変なのか想像もつきませんが、大塚さんは「丁寧に植える事」にこだわりをもって行っています。「うちでは6種類くらいの甘藷を育てています。その品種によりどの土が合うか、どの肥料が合うかがわかっていて、それぞれを最適な場所に植えていきます。今年から始めた『ハロウィンスイート』という品種はまだどの土が合うかわからないので、色々な場所に植えて育ち具合を見ています。」と大塚さん。全ての苗の植え付けが終わるまでに2か月ほどの時間がかかるそうです。



植えてから120日後の収穫

「今うちで一番多い品種は「宮崎紅」です。この品種は120日ほどで収穫します。台風や秋雨前線で収穫する日が延びると味や品質が落ちてしまうこともあるので天候はとっても気になります。」収穫は機械で行われます。ガタガタという音をたてながらゆっくりと前進し、前のシャベルが回って甘藷が掘られ、運転席まで自動で登ってくるしくみです。とはいえ炎天下での収穫作業はどんどん体力を奪われるそうで大塚さんは軽い熱中症になってしまったこともあるのだそうです。「そして収穫が終わった甘藷は貯蔵庫に運びます。最低でも40日ほど貯蔵すると糖度が安定するんです。種類によって2~3か月ほど貯蔵します。」大塚さんは甘藷の甘さの秘密を教えてくれました。甘藷は風通しのよい貯蔵庫で保管すると水分値が上がります。そしてでんぷんが糖度に変わってくるそうです。最近流行の蜜が入ったような「蜜いも」は60日間~90日間寝かしているのだそうです。それではどんな場所で保管されるのでしょうか。


芋ほり機を運転する大塚さん



ひんやり冷たい貯蔵庫にびっくり

次は貯蔵庫に連れて行っていただきました。


貯蔵庫の扉



貯蔵庫の扉を開け中に入ると気温の変化に驚きました。取材日は猛暑日でしたが貯蔵庫の中はエアコンが効いているかのようにひんやりとしています。真っ暗なので見ただけではあまり大きさがわからなかったのですが、奥まで30~40メートル進み「コの字型」になって、上の写真の左にあるもう一つの扉から先程入った扉の隣に戻って来れられるつくりになっています。

「近年では天災が心配で最近ではコンクリートで作りエアコンと加湿器を備えている貯蔵庫もありますが、うちは昔と変わらず土壁の貯蔵庫でやっています。土の湿気と土の温度で甘藷を管理するのに調度いいんです。湿度は90パーセントだそうです。40日間以上貯蔵すると甘みが違うんです。」



掘った甘藷の大移動!

掘った甘藷を貯蔵庫に入れるのは、これもまた1ケース1ケース手作業です。まずは1ケース22キロくらいの掘りたてのお芋を車に積みます。そして貯蔵庫についたら車からおろし、貯蔵庫に保管します。「この作業の繰り返しで1日に300ケースくらい毎日運びます。サラリーマンの時代には腰痛は無縁でしたが、今はこのおかげで腰痛持ちです。」こうしてこだわって、愛情をこめて作ったお芋を焼き芋にしてくれました。今回頂いたのは宮崎県産の新種のお芋「ハロウィンスイート」とこの辺りでは定番の「宮崎紅」です。「ハロウィンスイート」は割ってびっくり、かぼちゃのようなオレンジ色が特徴です。これはカロテンという栄養素からなるものだそう。味はかぼちゃのような甘みと今流行りのしっとりとした食感です。新種という事でこれから人気になりそうな予感です。「宮崎紅」はほっくりと甘い昔ながらの焼き芋の味でなつかしい気持ちになります。


宮崎県産「ハロウィンスイート」の焼き芋。鮮やかなオレンジ色が特徴です。

 

「貯蔵庫でじっくり糖度があがった甘藷はやはり焼き芋がおいしいですね。とれたてでまだ糖度が低いものは天ぷらにするとおいしいです。それに品種によっても違います。例えば宮崎紅は焼き芋でもいいんですが、加工に向いていて、大学いもとか天ぷらにするととてもおいしいですね。」と大塚さんは教えてくれました。色々な品種を色々な調理法でためして自分にとって一番の甘藷をさがすのは楽しそうですね。

この取材の時に収穫された甘藷は皆さんがこの記事を読まれている頃には大塚さんの貯蔵庫から出荷の為に運ばれている頃でしょうね。大塚さんが心を込めて育てた甘藷を食べた皆さんの笑顔が浮かびます。


 

■今回の取材先

かんしょの好栄(こうえい)
〒889-3532 宮崎県串間市大字太平6310-86

TEL:090-7537-3003
FAX:0987-74-2791

HP:http://www.kansho-kouei.com/

お取り寄せ:HPより

 

 

大塚さんの甘藷畑。夜には真っ暗になり星がとってもきれいなのだそうです。7月には天の川が素晴らしいそうです。

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