世界のいも類生産量第2位!日本では馴染みの少ない熱帯育ちのシンコンは、食用・工業用と幅広く活用されています。この万能の芋の正体を様々な食べ方と共にご紹介します。




シンコン(キャッサバ)と呼ばれる芋をご存じでしょうか?

名前だけは聞いたことがあるという方が多いのではないでしょうか。科名はトウダイグサ目トウダイグサ科イモノキ属で熱帯低木になります。世界中の熱帯で栽培されており、世界で栽培されているイモ類の中でジャガイモに次ぐ世界第2位の生産量(2億2954万トン)を誇ります。
あまり知られていませんが、日本では輸入が禁止されているため、現物を手に取ることができません。けれども、実はこの芋の澱粉がタピオカの原料になっており、タピオカパールとなって私たちの身近に存在しています。食用以外にも工業用としてバイオエタノールなどに利用されています。


この芋は栽培方法がとても簡単で、茎を地中に挿すだけでそのまま生長していきます。茎の根元には円心状に数本の芋がなり、芋の形はさつまいもをさらに長くした感じです。やせた土地でも育つこの生産効率の良い芋ですが、人間が食用にするには一つ難点があります。皮と芯に毒が含まれており毒抜きをしなければ食べられないのです。


この芋の国別生産量第3位の国がインドネシアです。
インドネシア語でこの芋は「シンコン」と呼ばれ広く愛されています。
現地ではどのように食べられているのか、ご紹介いたします。



 

 

揚げる①

インドネシアでは毒性の低い品種が生産されているようですが、それでも皮と芯には少量毒が残っています。そのため皮と芯は全て取り除き、水にさらしてしっかりと茹でる(蒸す)といった毒抜きをします。

屋台などでシンコンを揚げたもの「singkong goreng (シンコン ゴレン)」を売っています。安くて気軽に買えるので、子供が学校帰りなどにおやつとして買っていく姿が良く見られます。食べてみると、さつま芋の甘みをとても薄くしたような味わいで、山芋に似たほくほくとした食感をしています。






揚げる②

シンコンを薄くスライスしてポテトチップスのように揚げたものを「keripik singkong (クリピッ シンコン)」といいます。食感はパキン!パキン!と硬く、味は独特のコクがあります。

屋台で売られているものは甘じょっぱいフレーバーパウダーをまぶしたものが一般的です。


近頃はスーパーなどで色々なメーカーの商品が売られており、日本のポテトチップス市場のように様々なフレーバーが品揃えされています。土地柄、甘辛い味付けのものが定番で数多くあります(火を噴きそうになるくらい辛いものもあります)。


お菓子売り場の棚一面を飾るほどの人気のおやつです。







発酵させる

蒸かしたシンコンにラギと呼ばれる菌を加えてバナナの葉に包んで発酵させたものを「Tape   singkong(タペ シンコン)」といいます。これはびっくりするほど食感と香りが変わります。 ねっとりとしていて持つと崩れそうな柔らかさ。口に含むと甘酒のような発酵臭が香ります。甘みが増して少し酸味のあるカスタードクリームのような濃厚な味わいへと変化をしています。タペシンコンは発酵がどんどん進んでしまうため、賞味期限は一週間程度と短めです。

このまま食べてもいいのですが、インドネシア版かき氷「エスチャンプル」の具材として使われたりします。焼いて食べる「タペバカール」はスイートポテトのような味わいだそうです。タペ シンコン、自然の甘みだけでできている優秀なおやつですね。







蒸す

インドネシア版ういろうとでもいうのでしょうか 「timus(ティムス)」。
シンコンをすりおろし、同じくすりおろしたココナッツとヤシ砂糖と少量の塩を加えてよくかき混ぜ、バナナの葉で包んで蒸すだけのシンプルなおやつ。タンパク質が多いので、これだけでもっちりとしたお餅のような食感になります。







シンコンは様々な食べ方があると同時に、調理法によって大きく食感が変わるのも魅力的です。もちろん、今回ご紹介したお芋そのものを使ったお菓子だけでなく、抽出した澱粉・タピオカ粉で作られるお菓子も沢山あります。タピオカパール、えびせん(中華街なのでよく見かける揚げ煎餅)、もちもち食感のドーナツ、ポンデケージョ等々。


シンコンは他に類を見ない素晴らしい万能性を持った作物です。「葉と実は食して、茎はまた植える」といったように捨てるところが無く、さらに工業製品としても活用されています。もしかしたら、これから地球を救う大事な食材になる可能性が大きいかもしれませんね。



(写真・文 まちおやつプロジェクトメンバー)





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