“伝統”と“今”が融合したパリのスイーツはアイデアの宝庫。いつ訪れても発見が待っています。新しいスイーツとの“出逢い”を求めて、パリの街を散策してきました。




昨年末の記事で、「今、フランスのケーキの食感が軽い!(パリのクレームシャンティイ)」というお話をしました。昔から親しまれているフランスの定番スイーツは、今、パリを中心に新しく進化をしています。ブーランジェリー(一般的にパン店のことをいいます)では伝統的な重厚な口当たりのものも見られますが、近年オープンしたパティスリー(一般的に菓子店のことをいいます)では数年前に流行した「classique revisité(伝統の再構築)」をベースに“今”に合わせたシェフたちのアレンジが加えられています。

今回はここ最近オープンしたパティスリーを中心にパリの街を食べ歩いてきました。伝統を大切にしながらもシェフたちの個性が光ったスイーツはどれも魅力的なものばかり! ついつい沢山食べてしまいました。その中でも私の大好きな「タルト・シトロン」に注目!

「タルト・シトロン」は、日本語に訳すと「レモンタルト」となります。その名の通り、サクサクとしたタルト生地の型に入った甘酸っぱいレモンクリームが主役のフランスでは定番のスイーツです。この「タルト・シトロン」は、レモンが旬を迎える2月頃からパティスリーで多く見られるようになります。

フランス国内では南仏のマントンがレモンの産地として有名で、フランスのレモン生産量の大半を占めています。温暖な気候に加え、高い山があるので冬の強い北風の被害を受けにくく栽培が盛んになりました。旬を迎える2月になるとフランスでは“レモンの季節”が始まり、マントンでは“レモン祭り”も開催されます。


マントンのレモン祭り


レモンでは、以前アマルフィのレモン(アマルフィのレモン)をご紹介しています。マントンのレモンも皮が厚く、そのまま薄切りにしてサラダにしたり、様々な料理のアクセントに使われるそうです。果汁が多く、酸味・甘み・渋味のバランスが絶妙だとか。残念ながら今回は、マントンのレモンを手に取ることは出来ませんでしたが、機会があったら南仏へレモンを求めて行ってみたいですね。パリでもマントンのレモンは手に入るのかな? 次回、探してみることにしましょう。

レモンの季節を始めに、春から初夏にかけてもパリの街ではレモンを使用したスイーツが数多く見られます。さまざまな進化版「タルト・シトロン」もお目見えするように。「えっ!? これが『タルト・シトロン』??? 」と思ってしまうビジュアルの商品も。でも一口食べると、納得の美味しさ! そんな“今”の「タルト・シトロン」の秘密を紐解いてみました。





「生地の厚さが桁違い」

通常、タルトは型にシュクレ生地(クッキー生地)を敷くことが多くサクッとした食感に焼き上がります。しかし、今回出会ったのは見たこともない厚さのタルト!これは一度焼いたクッキー生地を砕いて、バターなどで固めて型にはめたもの。食べごたえのあるザクッとした食感の生地は噛みしめる美味しさがあり、今までの「タルト・シトロン」とは一線を画しています。


  




「酸味は“しっかり” VS “やさしい”」

元来、フランスの「タルト・シトロン」は酸味が強めなものが多く見られます。裏切らない美味しさの「王道の『タルト・シトロン』」は、しっかり焼かれたタルトにねっとり感のある酸味が強めのクレーム・オ・シトロン(レモンクリーム)。新しいものでは、クレームはやさしい酸味にして、中に酸味の効いたジュレを忍ばせてインパクトをつけることも。
一方、近年増えてきているのはやさしい酸味。クレームのねっとり感はなく、なめらかで口溶けの良い食感です。



  





「メレンゲは“軽く、サクッ”」

今まで多かったのは、甘くなめらかなムラング・イタリエンヌ(120℃の熱いシロップを加えて作るしっかりとした固さのメレンゲ)にバーナーで少し焦げ目をつけたもの。今回多く見られたのは“軽く、サクッ”とした食感の真っ白に焼かれたメレンゲ。なめらかな食感のクレーム・オ・シトロンに軽い食感のメレンゲはピッタリ! 食感のコントラストがあって食べていて飽きることがありませんでした。





今回、出逢ったタルトシトロンは食感のアクセントやビジュアルに変化を加えるなど、シェフたちの豊かな発想で彩られていました。でも、パーツは「タルト」「クレーム・オ・シトロン」「ムラング・イタリエンヌ」と定番。“今”の奥にはシンプル、ベーシックを基本とした、“伝統”を大切にする想いも伝わってきました。


次回はどんなスイーツに出逢えるのか…そんな期待を残してパリを後にしました。À bientôt Paris! 


(取材・文 まちおやつプロジェクトメンバー)



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