「今まで出会ったたくさんの先輩方やお年寄りに教えて貰った“昔ながらの福井の食文化”を、多くの人に伝えて引き継いでゆくことが、私のお役目だと思っているんです」

 

「福井県では、昔から『水ようかん』を真冬にコタツで頂くのが、各家庭での楽しみなんです。今、その水ようかんを『福井の冬水ようかん』としてご紹介しているんですよ」
餡と寒天と砂糖と水というシンプルな材料で作られているとは思えない、さっぱりとした中に奥行きのある美味しさの『福井の冬水ようかん』。新鮮です!
福井郷土料理研究家・フードディレクターの佐々木京美さんから、首都圏でも話題の福井県の「冬水ようかん」と、大変貴重で興味深い福井県の食文化のお話を伺いました。

雪深い季節に暖かいお部屋で、つるんと頂く水ようかんは、子供からお年寄りまで昔から大人気のおやつ。黒糖の風味は、コーヒーにもぴったりと合います。


 



佐々木京美さん(以下 敬省略)「この水ようかんは、冬の季節になると各家庭の冷蔵庫に必ず入っているもので、ちょっと甘いものが欲しい時の気軽なおやつとして食べられています。他にも、年末年始の親戚が集まるような特別な時にも、決まってその家庭の冬水ようかんを食べますね。作るお店によって微妙に味が違うのも楽しみの一つで、家族皆でコタツに入りながら『このお店の水ようかんは甘いね』など、ワイワイと会話が盛りあがります。冬水ようかんの思い出が、福井県の人たちには必ずあるんですね。

あまり表に出て行かない福井県の人たちの県民性もあって、福井県はガラパゴス化しているけれど、だからこそ、守られている文化があるんです。そんな話を私が首都圏の方にさせて頂くと、皆さん懐かしがって、それがもしかしたら『ザ・日本』なんじゃないか?…と、思ってくださる方もいるみたいです。日本人がもともと持っていた心意気や思いが、お菓子や食文化から見え隠れしているのかもしれないですね」

 

 

今、消え去りそうな日本の食文化が色濃く残る『福井県』に首都圏も注目

福井県の「冬水ようかん」を他県の方々にも知って欲しいという思いから始まった「冬水ようかんプロジェクト」。今年の冬、新宿伊勢丹の食料品売り場でこの「冬水ようかん」を期間限定で販売したところ、予想を超えて飛ぶように売れたのだそう。中には「もう一度食べたい」と、期間中に再度足を運んでくれたお客様もいらしたそうです。

 

 

  


佐々木:「福井の食文化の話を首都圏の方にすると、皆さん、郷愁を感じられているのか凄く懐かしそうに聞いてくださるのです。40代以上の私たち世代は、同じ教科書を読んで同じ童謡を歌って日本の四季を感じながら、昔から伝えられた日本文化の中で育ってきたDNAがあると思うんですよね。今、すべてが便利になり一年中フラットな生活を送るような環境が広がりつつある中で、その文化が途切れそうな局面を迎えています。このまま時代に流されてしまったら、日本人の心も荒んでしまうかもしれません。そんな中で、昔ながらの食文化をご紹介すると、皆さんホッとされるようです」


――以前、ご主人のお仕事の関係で、インドネシアで暮らしたこともあったという佐々木さん。常夏の土地で、季節について考えることがあったそうですね。


佐々木:「一年中同じ気候の国で暮らしてみて、日本人は季節感と共に思い出を重ねているということを強く感じました。子供の頃、寒い日に母が水ようかんを作ってくれたよね、と、そんな思い出を身体が意識しているんです。だからこそ、福井県の冬の風物詩を残していきたいと思いますし、日本の子供たちにも、それぞれの土地の季節の思い出を重ねて欲しいと思っています」


――佐々木さんが、福井県の食文化を伝える上で、大切にされていることは何でしょうか?


佐々木:「子供の頃から、もう天に召されたたくさんの福井県のお年寄りの方々から、多くの福井県のある地域にしかない郷土料理や、福井県の小さな谷にある民家にしか残っていない料理など、とても貴重な食文化を教えていただいてきたので、それを皆さんに伝えることが使命になっていると思いますし、皆さんの知恵に背中を押していただいていると思っています。

『和食は福井にあり(向笠千重子著 平凡社新書)』という本があるのですが、そこに『福井は日本の縮図。山があり、谷があり、川があり、海がある。日本列島の気候を象徴している』という一節があります。まさにその通りなんです。

今まで、日本を何周もしてきたテレビプロデューサーの方など食のプロの方々が皆さんおっしゃるのは、福井県には観光客向けの料理がなく、普段の食文化そのものが日本の文化だ、と驚かれるのです。暮らしの中に日本文化が残っている貴重な地域だと思っています」


――昔ながらの食文化が今も各家庭で大切にされている福井県。親戚がコタツに集まっておやつを囲む。そんな心が温まる習慣を取り入れてみたくなるお話です。まだまだ深く知りたい福井県の食文化。次回は福井県の「梅ジャム」についてお話を伺わせていただきます。



『福井の冬の水ようかん』をネットで買える「福井冬水ようかん紀行」はコチラです。
http://fukui-mizuyokan.com



冬水ようかんは、今シーズンの販売をほぼ終了しました。
東京都内の福井県産ショップ、ふくい291の青山店・銀座店は、2017年3月末までの販売となります。
来シーズンは、2017年11月から販売開始予定です。



(取材・文 神緒早希)


 

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