赤道近くの熱い地域に生育し、東洋のバニラと称されるパンダンリーフ。東南アジアではお菓子に料理に欠かせないハーブ。現地でしか味わえない独特の風味の虜になります。

 

「東洋のバニラ」とも称される、甘い香りのする不思議なハーブ

パンダンリーフは赤道付近の熱い地域でお菓子や料理によく使われるパンダンと呼ばれる植物の葉の部分のことです。タイでは「バイトゥーイ」、インドネシア・マレーシア・シンガポール・フィリピンでは「パンダン」と呼ばれています。
タコノキ科に属する植物でパイナップルのような実をつけます。ニオイタコノキという別名もあり、高さが1m程度のものが良く見かけられます。
パンダンリーフ(葉)は主に甘いデザートの香りづけに使用しますが、鶏肉を包んで揚げる料理や、ご飯と一緒に炊いて香りを出すといった使い方もあります。ただし、葉自体は硬くて食べられません。

実は薬効もすばらしく、糖尿病に効く、血圧を下げる、動脈硬化の防止、心臓の働きを助ける、デトックスやぜんそくの緩和、麻疹(はしか)にも良いとされているとのこと。更には、ビタミン・アミノ酸が豊富で、美肌効果もあるそうです。
また、虫よけや消臭にも使われ、まさに生活になくてはならない存在です。


 


ドキッとする緑色のお菓子たち

東南アジア一帯で鮮やかな緑色をしたお菓子やパンをよく見かけますが、この緑色はパンダンリーフによるもの。
日本人には一瞬ドキッとするような鮮やかな緑色のパンも、その地域の人々には慣れ親しんだなじみの色なのです。 

次の写真はインドネシアのスーパーの一角にある伝統菓子の売り場の様子です。緑色のお菓子が数多くあるのがお分かりいただけますでしょうか? 大量生産品にはパンダンリーフではなく着色料を使うこともあるそうで、それほど緑色はお菓子の色として定着しています。

 



インドネシア伝統菓子「Klepon」

パンダンリーフで色づけされたお菓子は数多くありますが、ここではインドネシアでとてもポピュラーな伝統菓子「Klepon(クルポン)」についてご紹介したいと思います。屋台やスーパーなどいたるところでひと包み50円ほどで売られており、朝や午後の軽食として食べられています。

作り方は、パンダンリーフと水をミキサーにかけ、ざるでこし、緑色のパンダン水を作ります(パンダン水の作り方は葉をもんだり、お湯で煮たてるなどいくつかの方法があるようです)。
パンダン水と米粉を混ぜて生地を作り、一口サイズの量を取って延ばします。生地で椰子砂糖を包み、熱湯でゆで上げ、ココナッツフレークをまぶして完成です。中の椰子砂糖が溶けて液状になっているので、中身がぴゅーっと飛び出さないように気をつけて食べます。


 



出来上がったクルポンは独特のパンダンの甘い香りがほんのりとします。そして、ココナッツの風味との相性もばっちり。中の椰子砂糖も甘さがマイルドなので、あっさりと食べることができ、ついつい食べる手が止まりません。

その他には、インドネシアのバリ島では、パンダンリーフを食べ物以外にも毎日使っています。
毎日朝夕、女性たちが神様・悪霊へお供えする「Chanang(チャナン)」というお供え物を作るのですが、このお供え物はバナナやヤシの葉の入れ物に、葉・4色の花びら・小さな食べ物と共に、細かく刻んだパンダンリーフをのせます。毎日使うものなので、どの家の庭先にも植えられています。ちなみに一回に作る数は普通のお宅であれば20個ほど。毎日朝夕、大変なお供え物の数ですね。バリ島の女の子は小学生の頃からお母さんのチャナン作りをお手伝いするそうです。
(以下写真で女の子の左側に生えているのがパンダンリーフです)


 



東南アジアに旅行をされる際には、ぜひ東洋のバニラ・パンダンリーフを使用した緑色のお菓子にチャレンジしてみてください。多くのお菓子は当日中に食べなければいけないので、日本へのお土産にすることはできません。むしろそれがその地でなけれな得られない貴重な体験になると思います。そして、どこかでパンダンの甘い香りが漂ってきた時に、「あっ!あの旅行の時の匂い!」ときっと思い出の香りとなることでしょう。
 

(取材・文:まちおやつプロジェクトメンバー)



 

 

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