「震災の時、お店を訪ねてくれた人に1000本のロールケーキを配ったら、車で1時間以上かかる気仙沼市の人からも“届いたよ”と喜ばれて、作っていて良かったと思いました」

パティスリークリコは、女性の優しい手が支えています。パティシエの高橋宮倫子(くりこ)さん(前列右端)と、工房のみなさん。

 



町でロールケーキといえば、“クリちゃんの”

宮城県・南三陸町のパティスリークリコさんのイチオシおやつは、ロールケーキです。南三陸町では、“クリちゃんのロールケーキ”と呼ばれて親しまれています。しっとりふわっふわのカステラ生地とあっさりとしたとろけるクリームが、ここにしかないおいしさです。“持ち帰れるケーキとして、開発に5年かかった”というのも納得です。

一般的なバニラやチョコの他、地元名産の食材を活用したおいしいロールケーキが目白押し。わかめを使った“わかめロール”や、根は漢方に、葉は食用ハーブとして使われているトウキリーフを使用した“エンゼルロール”、宮城県産のもち粉「みやこがね」を100%使った“もちもちずんだロール”など、どのロールケーキも食材の特徴を上手く活かして、新たなおいしさを花開かせています。

 

 

わかめロール 1カットサイズ 300円、ハーフサイズ 900円(税込み)
クリームにわかめの緑が映える、わかめロール。なめらかなクリームに、わかめの旨味とうっすらとした塩味が程良いアクセントに。甘いだけではない後を引くおいしさです。生地にわかめを練りこんで作った緑色のロールケーキもあります。


 

エンゼルロール 1カットサイズ 300円、ハーフサイズ 950円(税込み)
エンゼルロールは、生地に使われているトウキの葉の部分と黒糖の相性が抜群です。セロリに似た爽やかな風味が楽しめます。

 

 

 “グルテンフリー”のもちもちずんだロール 1カットサイズ 300円、ハーフサイズ 1,280円(税込み)
その名の通り、 “もちもち”感がたまりません。中心の“ずんだ”にツブツブ感を残す嬉しい演出も。お餅の食感が楽しめるロールケーキです。

 

 

東日本大震災で配った、1000本のロールケーキ

パティスリークリコのロールケーキは、南三陸町の泊崎という海に突き出た岬にある、旅館『ニュー泊﨑荘』の売店で販売中です。旅館がクリコさんのご実家で、工房もこちらに構えています。
ロールケーキは『絆ロール』と総称しています。

というのも、東北に甚大な被害をもたらした、東日本大震災の時。クリコさんたちは、冷凍庫にあったロールケーキ1,000本ほどの在庫を、訪れる人達に配ったのです。

「うちは、半島の高台にあって、津波被害からは逃れることができました。ところが、2週間くらい道路が寸断して、食料が不足するような事態になってしまって。しかも遠くまで届けに行くには道路事情が悪く、近くまでしか行けなかったのです。反対に、消防団の人や家族を探しに来た人が訪れてくれました。その時に両手いっぱいのロールケーキを、一人一人にお渡ししました。後日、遠くは気仙沼市の、車で1時間くらいかかるところから『私達のところにも届いたよ』と連絡をもらいました。その後も『届いたよ』という知らせが相次ぎ、私たちのロールケーキがこんなに多くの人に届いて、笑顔や勇気を与えていたのだなと思って、初めて作っていてよかったなと思いました。当時は避難所に暮らしている人が多かったので、たくさんの人に食べてもらえたのだと思います」とクリコさん。


 

水道の復旧でロールケーキ作りを再開

この時は、町が壊滅状態で何もない状態。お店の再開には5年くらいの時間がかかるのではと思っていたそうです。電気も2カ月間停電し、水道も3カ月間止まっていました。そんな中、ご実家のニュー泊﨑荘は5月から8月末まで2次避難所に指定され、170人が避難してきました。

避難してきた人達が、「またロールケーキを作って」と言ってくれて、再開とまでは行かないまでも“おやつ代わりに”と、メープルのロールケーキから作り始めたそうです。その後も震災直後にもかかわらず、ロールケーキを買いに来るお客さんが何人もいて、「今はまだないんです」と言うと、がっかりして帰られる姿を見ることに。楽しみに来てくれるお客さんのために「準備しておかなければ」との想いを持ったそうです。

「その頃、6月末に復興市が開催されるというので“少し焼いて持って行ってみようかな”と出店しました。県外からもたくさんの人が来て買ってくださって。みなさんに、『頑張って作ってね』と言ってもらって。お買い求めくださる方の温かい声が支えとなって、ロールケーキを作ることができました。水道が復旧してすぐの頃のことです」

 

 

家族で支えるロールケーキ

昨年、クリコさんは旅館の社長を継ぎ、何と“若女将”と“パティシエの兼任”となりました。パティスリークリコは、これまで旅館の事務や運営を行っていたお姉さんの洋子さんが社長になってくれました。

洋子さんに社長になられたきっかけを伺ってみると、「9歳の娘が『大きくなったらパティスリーで働きたいな』と言い出したので、20歳になるまでは店を残さなければと思いました。そこで社長を引き受けることにしました」。娘の将来の夢はまた変わったようですが、と笑いながら話してくださいました。

 

 

地元の安全安心な食材を活かして取り組んでいるバイオマス産業都市構想

南三陸町は、バイオマス産業都市構想で災害に強い都市づくりに取り組んでいます。南三陸BIOというバイオマス施設で、生ごみの分別を町民と町の企業が取り組んで、生ごみからバイオガスと液肥を作っています。

その液肥で無農薬栽培しているのが“トウキ”です。

 

 

“グルテンフリー”もちもちエンゼルロール 1カットサイズ 300円、ハーフサイズ 1,350円(税込み)
トウキともち米を使用している商品です


 

洋子さんは、「循環の取り組み(生ごみ分別や液肥を使用した作物を使用)をやってみて、実感したことですが、食べてくれる人がいないと、本当の意味での循環は成り立たないということでした。バイオマスは、生ごみからエネルギーや液肥を作ってトウキ栽培しています。ところが、その先の、“食べてもらう”ところまで行かないと、最初の“生ごみ”から“命”へつながっていかないのです。循環の輪をつなげるには、食べていただくことが重要だとわかりました。今年は、多くの人に食べてもらって、応援してもらおう、という気持ちを前面に出していこうと思っています」と話してくださいました。

生ごみをしっかり分別しないと処理できないバイオマス。ここが一番難しく、ネックになってしまうことが多いそうです。「南三陸町では、震災後に住民の意識がすごく高まりました。原発の事故もありましたし、生ごみでエネルギーが作れるというクリーンさと、捨てられていた生ごみが液肥となり土に還ることに、すごく感動して協力したい気持ちになりました。ニュー泊﨑荘は、南三陸町で一番初めに分別に参加した企業です。食べることでも、循環に参加していきます」と洋子さんは話してくださいました。

 

 

地産地消の地元素材を使って応援したい

ロールケーキの材料にわかめやトウキなど、地元食材を活用しているクリコさん。
地産地消のおやつにかける想いを伺うと、「わかめやトウキにもチャレンジして、地元のおいしい食材をドンドン紹介したいという気持ちを持っています。

また一方で、安全な食材が少なくなってきていると感じることもあります。南三陸町は “安全な自然の食材を身近に見て体験してもらう”といった漁業体験の取り組みを行っています。“ホタテやカキ、わかめはこうやって作られているんだ”とか“一つ作るのに3年もかかるものがたくさんあるんだ”など、実際に来てもらって理解してもらい、応援してもらうことで一早い復興につながればいいなと思っています」と話してくださいました。

食べて応援できる、震災復興。ケーキとしては意外な組み合わせのわかめやトウキ・もち粉たちは、パティスリークリコさんの魔法で、自然の豊かなハーモニーを実感できるロールケーキになりました。ここにしかない、素晴らしいおいしさをぜひ一度お試しください。

 

 


泊崎にたたずむニュー泊﨑荘。太平洋の絶景と、おいしいお食事を用意してお待ちしています。かき小屋や半島散策など、ニュー泊﨑荘を起点としたアクティビティも盛りだくさんです。
 

店名 パティスリークリコ
住所 宮城県本吉郡南三陸町歌津字番所34
電話 0226-36-3905, 0226-36-3315 
FAX 0226-36-3907 
最寄駅 歌津駅からバス、仙台から直通バス増沢バス停下車
目印 ニュー泊﨑荘 1階ロビー
営業時間 9:00‐15:00
定休日 火曜日、日曜日
駐車場 あり 50台
イートイン あり 15席 
フロント前のロビーで、海の見えるソファでおくつろぎください。
クレジットカード 不可
お取り寄せ
お取り寄せ方法 南三陸町deお買い物(http://www.odette-shop.com/)、
ショッピングサイト(https://kizunaroll.thebase.in/
ホームページ、ブログ等

【HP】   http://patisserie-kuriko.com/
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