「ケーキを買っていただいて『ありがとう』って喜んでもらえる。こんなに嬉しいことはありません。これから洋菓子職人を目指す若者たちに、『この仕事っていい仕事だよ』と胸を張って言えます」




今回伺ったのは九州のクロスロードと呼ばれる町「佐賀県鳥栖市」です。九州を東西と南北にわたる2本の高速道路が交差する場所であったことから、このように呼ばれるようになりました。

高速道路のおかげで九州のどこへ出かけるのにも利便性がよいこと、また豊かな水と緑にも恵まれていることから、九州で住みたい町の上位になっています。そんな年々人口が増加している人気の町に、お客様が絶えない活気のあるお店「ポアソン洋菓子店」があります。




地元をアピール出来る洋菓子を作ろう!

お店の前に大きなのぼりが飾ってありました。「鳥栖米 塩ブッセ」お店の看板商品です。「市役所にね、相談されたんだよ。鳥栖産のお米をアピールした洋菓子がほしいって。その当時は鳥栖産の素材を使用して作った洋菓子はなくてね『なにかあるといいかも』と思ったんだ」と教えてくれたのは鳥栖市で生まれ育ったオーナーシェフ 埋金龍二(うめがね りゅうじ)さんです。地元をアピールできる洋菓子を作ろう!と思い立ちひらめいたのが「鳥栖米 塩ブッセ」、佐賀県鳥栖市産の米「ヒノヒカリ」と佐賀県加唐島の「塩」を使用して作られています。「はじめは手探りだったよ、お米の特徴もわからないまま何度も試作を重ねているうちに『お米を変えるとスポンジの食感が全然違う』と気付きました」と埋金シェフ。鳥栖市産「ヒノヒカリ」を使用して焼き上げたブッセはほかのお米にはない膨らみがあることに気付いたそうです。こうして選ばれた「ヒノヒカリ」という品種のお米は年に一度農家さんに直接伺い購入します。「近所の農家さんなので田植えからお米が実るまでの段階も見ることができます。安全に栽培されているため、安心して使用できるんです」とシェフ。安全安心な材料と製法であることをお客様にも知っていただきたいと話してくれました。完成したブッセにほんのり塩の味を感じるクリームが挟んであります。塩のおかげでクリームのやさしい甘さとふっくらと焼きあがった米粉のブッセがやわらかな甘さを引き立てます。「お子様がおいしいといって買いに来てくれるんですよ」と嬉しそうなシェフの笑顔が印象的です。



「友達のおかげです。本当にみんなのおかげ」

今では焼き菓子の中では一番に人気がある「鳥栖米 塩ブッセ」ですが、発売当時は全く売れなかったのだそうです。「一度食べていただければ絶対においしさをわかってもらえるのに」と考えたシェフは友人が務める市役所や、市のイベントなどで無料で配布します。これには幼馴染の友人も協力してくれて、とにかく多くの人に「鳥栖米 塩ブッセ」を食べてもらったのです。皆で汗をかきながら宣伝した結果、今では「鳥栖米 塩ブッセ」をお目当てに来店する方も多くお子様からお年寄りまで皆に人気の商品になりました。「友達のおかげです。本当にみんなのおかげ。それだけです。友達っていいですよね」とシェフは何度も言っていました。こちらの商品のバリエーションは佐賀県産「さがほのか」を使用したいちご味(通年販売)とさくら味(春限定)があります。


鳥栖米 塩ブッセ 1個140円(税抜き)



ポアソン洋菓子店には定休日がありません

「365日誕生日があるでしょう、だからうちには定休日はないんですよ」とシェフ。大変ですね!と言うと「始めてみるとそんなに大変じゃないんです。だって自分の誕生日にケーキ屋さんがお休みなんてさみしいでしょう」と笑うシェフ。






ショーケースに並ぶケーキには積極的に地元のおいしい果物を

店内にあるショーケースには種類豊富な地元のフルーツを使用したケーキが並びます。おいしいフルーツが出来たときに作るケーキを決めるため、期間限定の商品も多く並びます。この日、私がいただいたのは佐賀県産「シャインマスカット」を使用してつくった「ぶどうのタルト」です。パンパンに実ったシャインマスカットはつやつやとした見た目がとっても華やかでおいしそうです。フォークを入れるとザクッと手ごたえを感じるタルトです。そしてふわっとホイップされた濃厚な生クリーム、その上にはぽってりやわらかなカスタードクリーム、そしてさらに固めのとろーりとしたカスタードクリームがきれいな層になっています。口に入れると歯ごたえのあるタルトと、食感がそれぞれ少しずつ異なるクリームが見事に引き立てあう絶妙なバランスです。そしてシャインマスカットは皮もそのまま食べられて種もない品種で噛むとプチンッとはじけます。タルトをお買い求めになるお客様が多いのもうなずけるおいしさです。「タルトはおいしいフルーツが見つかった時だけ作るので販売時期もフルーツの種類も決まっていないのです。だから去年作ったけれど、今年は作らない種類もあります」とシェフ。お客様から「去年たべておいしかった○○のタルト、今年はいつから販売ですか?」と問い合わせを受けることも多いそうですが、今年はそのフルーツでは作らないということや、いつから作るかわからないということもあるそうです。「食べておいしいと納得したフルーツしか使わない」というシェフのこだわりなのですね。



ぶどうのタルト 1個380円(税抜き)




嫌いだと思っていた豆乳ですが久々に飲んでみたらとっても美味しかった!

シェフはもともと豆乳は苦手だったこともあり、お店に並べる商品に使うなんて思ってもみなかったそうです。ところが最近、長年飲む機会がなかった豆乳を久しぶりに飲んでみたところ、そのおいしさに驚いたそう。今では豆乳が大好きで、コーヒーにもたっぷりの豆乳を入れて飲むのだとか。そんなシェフが作った豆乳のパンナコッタをご紹介します。
「豆乳と黒ごまのパンナコッタ」です。カップに入って飾られたパンナコッタは豆乳の白色と黒ゴマの黒色の二層になっており、とても可愛らしく飾り付けがしてあります。口に入れるとつるっとして冷んやり。そしてとろーりととろけます。パンナコッタは一般的にはたっぷりの生クリームが使われていることが多いのですが「ポアソン洋菓子店」
のパンナコッタは豆乳で出来ている為カロリーは控えめです。でも、黒ゴマの香ばしさと豆乳の濃厚な風味をしっかりと感じられます。おやつにも、食後のデザートにもぴったりです。



豆乳と黒ごまのパンナコッタ 1個380円(税抜き)




「安全安心が一番です。自分の子供にも安心して食べさせたい」

「自分に子供が出来てわかったことがあります。子供に食べさせるものは絶対に安全安心であってほしいんです。子供ができるまではわかっていなかったかもしれない」と埋金シェフ。小さなお子様も安心して食べられるように洋酒は使わないようにしているのだそう。そして「子供は嘘をつかないから、新作は自分の子供に一番に味見をしてもらう。OKが出たら店頭に並べるんです。」と言っていました。塩ブッセについても子供が買いに来てくれることがとてもうれしいと話していたシェフは大人はもちろん、一生懸命地域の子供たちに喜んでもらうためにお菓子を作っているのだと感じました。

取材の最後に「ケーキを買っていただいて『ありがとう』って喜んでもらえる。こんなに嬉しい事はありません。これから洋菓子職人を目指す若者たちに、『この仕事っていい仕事だよ』と胸を張って言えます」とシェフは言いました。

今後もお客様が安心して食べられるおいしいお菓子を作ってくれることでしょう。楽しみにしています。


(写真・文 まちおやつプロジェクトメンバー)


ポアソン洋菓子店の注目おやつ「生パウンド」はこちら。


店名 ポアソン洋菓子店
住所 佐賀県鳥栖市大正町787-1
最寄り駅 JR鹿児島本線 鳥栖駅すぐ
電話 0942-84-3953
FAX 0942-81-3939
営業時間 9:30~20:30
定休日 なし
駐車場 あり 18台
イートイン なし
クレジットカード 不可

 

 

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