「地元が活性化するためにも、地元の食材を上手に使ってあげること。それが、地方のお菓子屋さんにできることじゃないかと思うんです」

 

琵琶湖に面した水が豊かな土地、野洲。創業18年の菓志工房「うすなが」を訪ねました。

琵琶湖の南側に位置する滋賀県野洲市。そこに、「うすなが」はあります。「うすなが」には、一般的なケーキや焼き菓子に加え、その土地ならではのお菓子がいくつもあります。そのひとつが、近江米を使ったパイやサブレ。今でこそ米粉を使ったパンやクッキーなどをよく見かけるようになりましたが、「うすなが」では何年も前からお米を使ったお菓子を提案してきたといいます。そのきっかけを店主でパティシエの薄永金侍さんに伺いました。



地元の米「近江米」を使った焼き菓子が看板商品。「お米ならではの優しい味わいと食感が自慢です」

「ここらは、緑も多くて水も豊富で、とてもいいところなんですが、残念ながら特産があまりないもんですね。そこで、地元の米、近江米をお菓子にできないかと思って3年ほど前に始めたんですわ」
優しい関西弁で語ってくれた薄永さん。近江米を使った「みずかがみサブレ」は、近江米のなかの品種「みずかがみ」の米粉を使用しているといいます。いただくと、クッキーとパイの中間のような、サクッとしつつ、パリッと歯切れのよい味わいです。

 

↑「みずかがみサブレ」130円(2枚入り)     


↑「焦がししょうゆパイ」180円(1枚入り)


「そうなんです。米粉は小麦粉とは違ってモサッとしていないので、なんというか、口に残る粉っぽい感じがないんですね。米粉だけでなく小麦粉も配合しているので、両方の良さを“ええとこどり”していて軽やかに食べられると思いますよ」

今年の5月にできたばかりという新商品「焦がししょうゆパイ」は、香ばしい醤油の香りと優しい甘さが絶妙なバランス。クセになりそうな味わいです。
「これは、彦根にある老舗のお醤油屋さん「ヤマタ醤油店」さんとコラボレーションした商品です。お米にはやっぱり醤油が合いますねぇ。醤油の香りがふわっと広がるのが特長なんです」。
こちらはざっくりとした歯ごたえで食べごたえあり。聞けば、滋賀県産の玄米を使用しているのだそう。醤油の香りに負けない風味のあるパイ生地が印象的で甘さ控えめ。甘いものはあまり得意じゃない……という人にも喜んでもらえそうです。

また、3年ほど前からある人気商品のひとつが、「近江米プリン」。こちらは、米粉ではなく実際のお米が入っていて、もっちりプルンとした食感が魅力。
ひと口いただくと、甘酒のような優しい甘さと香りがふわっと広がります。お米のプチプチ食感に加え、あとからかけるカラメルチップのパリパリした食感も利いています。

 

↑「近江米プリン」300円。なめらかな食感と優しい甘さ。召し上がる際にカラメルチップをかけます。

 

パイやサブレ・プリンなど、近江米を使った商品は日持ちがするようにしているのも薄永さんのこだわりだといいます。
「生のケーキと違って、お土産や贈り物にしてもらったらいいですね。全国の皆さんに食べていただけたら嬉しいですね」


 

近江米のほかにも、地元の野菜をふんだんに使ったお菓子も豊富。「どれも“野菜のよさを引き出す”ことをモットーにしています」

「うすなが」では、「近江米プリン」のほかにも、「赤かぶロールケーキ」や「赤かぶパイ」「唐辛子マカロン」「唐辛子ショコラ」さらには、「自然薯のスフレ」など……。野菜を使ったお菓子のラインナップも豊富です。
「これらは、滋賀県の取り組みで一緒にやらせてもらったのがきっかけなんですが、野菜は思いのほかお菓子に合うんですよ。たとえば、赤かぶは彦根の特産品なんですが、ピリッと辛みのある野菜なんですね。だから、あえて甘くシロップで煮てあげると、甘みのなかに赤かぶのピリッと感が染み出て、それがいいアクセントになるんですわ」
赤かぶにしても唐辛子にしても、その野菜の特性を活かし、ほかの素材や甘味とうまく組み合わせます。その野菜の良さを引き出してあげることで、ほかにはない、特別なスイーツになるのです。

 

↑「赤かぶロールケーキ」。秋~冬の限定で価格は時期によって異なる。シロップでじっくり煮た赤かぶがたっぷり。ふわふわの生地も絶品。

↑「唐辛子マカロン」1個180円。唐辛子のピリッとした辛みが甘さを引き立てます。淡いグリーンもきれい。

 

 

「地方のお菓子屋さんに何ができるかを考えたら、やっぱり、地元の食材を上手に使うことだと思うんです」

東京の製菓学校を卒業後、ケーキ屋さんでの修業を経て地元に戻った薄永さん。一代でケーキ屋さんを立派に築き上げました。そんな薄永さんは、今回のテーマでもある「地産地消」について、こんなふうに話してくれました。
「スイーツというと、できることって実は限られてくると思うんです。それに、どうしたって都心のお店やデパートや百貨店に入っているお店が注目される。それは仕方ないことですねぇ。だからこそ、うちみたいな地方のお菓子屋さんに何ができるか考えたとき、やっぱり、地元の食材を上手に使っていくことだと思うんです」
「そうすることで、農家さんだったり、お醤油屋さんだったり。町全体が元気になって活性化する。都心とは違ったアプローチで、お菓子にできることがあるんじゃないかなぁ、と思うんです」

地元の人にも、旬のもの、季節のものを食べてもらうのが一番だと、薄永さんは続けます。
お菓子は、日々の三度の食事とは違います。けれども、心にも体にも栄養を与えてくれる特別なものです。そのお菓子に使われている食材が、その町の名産の野菜だったり調味料だったり、毎日食べる地元のお米だったり。それはとても誇らしいことです。
お菓子をきっかけにして町の特産品が注目され、活性化していく。そんな素晴らしい“化学反応”が「うすなが」を中心に巻き起こっているようです。

 

↑見出しのやさしい絵のお店の本当の姿はこちら。緑に囲まれたお店です。


↑たくさんのこだわりのお話を聞かせてくださった薄永シェフ。

 

店名 菓志工房 うすなが(錦の里本店)
住所 滋賀県野洲市乙窪478-13
電話・FAX 077-589-6053
最寄駅 JR野洲駅(バスで約15分)
目印 西河原北の交差点すぐ
営業時間 9:30~19:30
定休日 木曜日
駐車場 あり 10台
イートイン あり 13席
クレジットカード 不可
お取り寄せ 一部可
お取り寄せ方法 電話、FAX
ホームページ、ブログ等

http://www.usunaga.jp/

 

 

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