水や自然に恵まれた富山ならではのお菓子を作りたかった。和菓子店が作る‘大人のラムネ’は、爽やかな落雁のよう。富山県産コシヒカリの米粉、高岡の新鮮な林檎入りです。

左から「大野屋」社長の長女・大野悠さん 和菓子職人の皆さん。
中央の和菓子チーフの嶋田さんは、40年以上大野屋で働いているベテランです。




「富山県高岡市は、『加賀藩の台所』として、豊かな町民文化とものづくりの伝統が受け継がれてきました。今もお茶の文化が栄えている街でもあります。それもあってか、長年和菓子を買いに来てくださる方が多いのが有難いです」と、大野さん。

 

大野屋は天保9年(1839年)に初代大門屋吉四郎がそれまでの醸造業から菓子屋に転じたのが始まりです。以来、高岡市の伝統的建造物群保存地区に指定されている 通称「山町筋」で菓子屋を営み続け、現当主で9代目。代表銘菓 「とこなつ」や「田毎(たごと)」など、万葉の歌人・大伴家持(おおとも の やかもち)の歌に因んだ銘菓を中心に、厳選した素材を生かした四季折々のお菓子を多数取り揃えている老舗です。

大正時代の大野屋。今も昔も木型を使ったお菓子の製法を守り続けています。


菓子製造170年間の歴史の中で使ってきた多くの菓子木型。現役の木型も多く、ラムネの製造は全て手作業です。

「大野屋は170年の歴史の中で使ってきた多くの菓子木型を保有しており、 一部は店頭での展示を行っています。これらの木型は現代においても大変優れた 意匠として捉えることができ、こういった歴史的資産を活用しながら昔と今を繋げる新しい商品作りに務めています」


お菓子を作る木型は、山桜という硬く身が詰まった木でつくられており、「落雁」や「金華糖」、「月餅」、「上生菓子」等、繊細なお菓子の造形を表現することができるそうです。


お祭りの山車についている縁起の良いモチーフをラムネに。「福」がスーッと口の中に広がる幸せ

―――伝統ある和菓子を作り続けている大野屋でモダンなラムネを作られたのは、何かきっかけがあったのでしょうか?特に、ラムネに富山県産のコシヒカリが入っているのもユニークですね。

「和菓子屋が作るラムネということで、富山産のコシヒカリを滑らかな粉末にした米粉を混ぜてみたのですが、落雁のような食感のラムネに仕上がりました。大野屋が長い歴史の中で使ってきた木型と培った技、和菓子の季節や行事に合わせて生まれた美しい造形、さらに今回の富山産コシヒカリや高岡の林檎など、地域素材を組み合わせたことで高岡文化の新旧を織り交ぜた『高岡ラムネ』が完成しました。職人によりひとつひとつ 丁寧に作られ、手業ならではのふんわり柔らかな口どけが特徴です」

―――今まで出逢ったことのあるラムネよりも優しい食感で、酸味も爽やか。とても上品なラムネですね。今回「高岡ラムネ」シリーズの中から選ばれた、「御車山」についてご紹介を頂けますか?

「2016年にユネスコ文化遺産に登録された高岡市が誇る最大のお祭りが『御車山祭 (みくるまやままつり)』です。そのお祭で曳き回される豪華絢爛な山車『御車山』 の頂点を飾る『鉾留(ほこどめ)』というモチーフを中心に、車輪や梅鉢等を象ったのが、こちらのラムネです」
 

―――せっかくなので、高岡を訪ねる際には高岡御車山祭に合わせていきたいです。お祭りは、いつ頃行われますか?

「毎年5月1日に行われ、前日の4月30日は宵祭りになります。富山県高岡市の高岡関野神社の春季例祭で、富山県内で最も古く、歴史のある山車祭りとして知られています。御車山と呼ばれる7基の山車が優雅な囃子とともに高岡の旧市街を巡行し、多くの観光客で賑わいます。国の重要有形民俗文化財と重要無形民俗文化財の両文化財に指定されている貴重なお祭りです」


「御車山 540円(税込み)」
御車山鉾留(ほこどめ)の鳥兜、やなぐいに弓矢、五鈷鈴、胡蝶、太鼓に鶏、釣鐘、桐、御車山を先導する源太夫獅子、御車山の車輪、前田家の家紋・剣梅鉢。「おめでたい、おめでたい」そんな気持ちで一つずつ楽しみたいラムネです。

また、福が詰まった「高岡ラムネ」シリーズには、古くからの吉祥文様である「貝尽くし」や、鯛など福徳を招く宝物を集めた「宝尽くし」、四季折々の草花を集めた「花尽くし」等も人気です。




椿、雪、やっこ凧にお多福…寒い季節の風情詩が詰まった「冬のラムネ」は、心がほぐれる可愛らしさ

寒い日、暖かな部屋でそっと包みを開いてみたいのが「冬けしき」です。
冬から初春にまつわる絵柄である椿・梅・羽子板・奴凧・鈴・雪・うぐいす・おたふく・こま が丁寧に形づくられています。

四季折々の風物詩を季節ごとに詰め合わせた大野屋の季節のラムネシリーズの中の、冬バージョン。純白の小さなラムネはほんのり甘酸っぱくて、どこか懐かしい風味。素材には国産ゆずが使われています。

ゆず湯、ゆず茶、ゆずの香りのお鍋……ゆずは「冬っていいな」と連想させてくれる素材ですね。そんなゆず風味の冬ラムネ、とっても気が効いています。大切な方へのお歳暮やお年賀に「冬けしき」を添えてみてはいかがでしょうか。見た目も美しい「高岡ラムネ」は、海外の方へのお土産に選ばれる方も多いそうです。


「冬けしき 540円(税込み)」



富山で流れ続けたCMで、昔からお馴染みの看板商品。明治の頃から「和菓子といえば『とこなつ』」

最後に、大野屋で明治期より変わらず愛され続けている「とこなつ」をご紹介致します。

「長年CMで流れ続けた『とこなつ』をずっとご愛顧くださるお客様が多いのが嬉しいです。備中白小豆の餡を求肥の餅生地で包んだお菓子ですが、素材の質を大切にしながら美味しさを伝えていこうという思いで作っております」

周りを包んでいるのは、立山の雪に見立てて振りかけた和三盆。「とこなつ」とは、カワラナデシコの古名で、奈良時代から多くの万葉歌人に愛され、たくさんの歌に詠まれている秋の七草の一つ。越中国司、大伴家持の歌に因んで作られたのが「とこなつ」です。

わずか3cmの小ぶりな大きさといい、なめらかな小豆の口当たりといい、なんとも可愛らしく、ほっこり和む和菓子です。


「とこなつ 6コ入 540円 / 12コ入  972円 /18コ入 1,458円 / 24コ入  2160円(税込み)」

 



かつての歌人も愛でた美しい自然に囲まれた高岡市で作られる「大野屋」のお菓子。どうぞ皆さまもご賞味くださいませ。

(取材・文・写真 栗尾モカ)

 

店名 大野屋
住所 富山県高岡市木舟町12
電話 0766-25-0215
FAX 0766-24-9117
最寄駅 あいの風とやま鉄道 高岡駅・万葉線 片原町駅
目印 山町筋の木舟町交差点角(富山第一銀行さん向い)
営業時間 月曜~土曜   8:15-19:30
日曜・祝日 8:15-19:00
定休日 水曜日
駐車場 あり 4台
イートイン なし
クレジットカード 可(一部のカードは不可)
お取り寄せ 一部可能 オンラインショップ、電話、メール等にて
ホームページ http://www.ohno-ya.jp

 

 

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